催眠鎮静薬

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●参考文献:登録なし   ●関連文書:登録なし

 

下記はクスリ早見帖副読本 医師が教える市販薬の選び方(PHP研究所)から。一部改変。

 

 催眠鎮静薬は脳に作用することで、心と体の興奮や緊張を和らげる成分です。安定剤、精神安定剤、抗不安薬、ねむり薬、睡眠薬、眠剤、睡眠導入薬、鎮静薬、トランキライザーなどと呼ばれることもあります。市販の解熱鎮痛薬などで使われていますが、アリルイソプロピルアセチル尿素ブロモバレリル尿素の2種類があります。

 アリルイソプロピルアセチル尿素は、医療用医薬品の単剤としては使われていません。その名前を聞いても催眠鎮静薬であることに気づかない医療従事者も多いのではないでしょうか。

 ブロモバレリル尿素単剤は医療用医薬品にあり、劇薬・習慣性医薬品に該当します。しかし、新しい催眠鎮静薬も多く登場したこともあり、医療現場でみかけることはほとんどなくなりました。

 一方、市販の解熱鎮痛薬ではこれらの催眠鎮静薬は多くの製品に配合されています。解熱鎮痛薬として用いる際、眠気を期待する方はあまりいないと思われますので、その副作用には注意が必要です。授業や試験、仕事の前に服用すると集中力・注意力が低下したり、眠くなってしまい自動車運転時の交通事故の危険性が高くなることも、想定する必要があります。

 また、催眠鎮静薬は薬物乱用・薬物依存につながりやすいことが知られています。ブロモバレリル尿素の入った市販薬で薬物依存になり、長期間使い続けたために、慢性ブロム中毒という脳に障害をきたす疾患になったという報告もあります。

 そのため、市販の解熱鎮痛薬を使う場合、最初は催眠鎮静薬の入っていない製品で効果を確認し、効果が十分な場合は催眠鎮静薬の入った解熱鎮痛薬を使わない、という姿勢も大切ではないかと思います。

 なお、これらを含む市販の解熱鎮痛薬の説明文には、「この成分は鎮痛の補助である」という趣旨の記載しかない場合がほとんどで、催眠鎮静薬が含まれていると気づきにくいのではないかと思います。長いカタカナ語で、覚えにくい名前でもありますが、アリルイソプロピルアセチル尿素ブロモバレリル尿素ともに「尿」の字を含みます。市販の解熱鎮痛薬では、成分欄に「尿」の文字があるかないかに注目するとよさそうです。