単剤・合剤

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下記はクスリ早見帖副読本 医師が教える市販薬の選び方(PHP研究所)から。一部改変。

 

 市販薬には、さまざまな成分が使われていますが、成分がひとつのものを単剤、2つ以上のものを合剤または配合剤などと呼びます。

 クスリは、ひとつの成分ですと、その主作用と副作用を理解することは比較的シンプルですが、成分の種類が増えれば増えるほど複雑になります。

 例えば、2つの成分AとBが入った合剤の場合、Aの主作用と副作用、Bの主作用と副作用が、それぞれあります。それに加え、AとBの相互が組み合わさったことによる相互作用というものもあり、よい方向に働くこともあれば、悪い方向に働くこともあります。さらに細かく考えると、各成分の分量の組み合わせによって違いが出るなど、合剤に含まれる成分の数が増えれば増えるほど複雑になります。

 医薬品の場合、市場に出る前に臨床研究(ヒト試験)が実施されますが、一般的には成分ひとつについて研究されます。合剤の臨床研究は、せいぜい2種類の成分での臨床研究までで、3種類以上の合剤での臨床研究の評価・考察はなかなか難しく、実際に合剤をきちんと評価するための臨床研究はあまり実施されていません。

 市販薬は合剤が多く、前述のとおり合剤の臨床研究はほとんどありません。そのため合剤の有効性及び安全性において臨床研究からの情報は十分とはいえないのです。例えば、市販薬の薬物乱用・薬物依存が以前から問題になっているのですが、そこで原因となっている市販薬の多くは合剤です。成分の組み合わせに問題があるかもしれないなどの疑いが持たれていますが、それをテーマにした臨床研究は少なく、どのような配合にリスクがあるのか、ひとたび薬物依存になった方にはどのような治療を提供するとよいのかなど、今後の課題となっています。

 

 実際に合剤を使用する際のメリットとデメリットをまとめます。

【合剤のメリット】

 ①服用するクスリの数を減らすことができる(成分数は減らない)

 ②単剤よりも効能・効果の多いクスリを作ることができる

 ③単剤を複数買うより安く購入することができる

【合剤のデメリット】

 ④副作用が出た場合、その原因となる成分を特定しにくい

 ⑤症状に合わせた成分量の微調整ができない

 ⑥同じ成分を重複服用してしまいやすい

 

 ⑤の補足です。例えば、熱と体の節々の痛みはあるけれども、鼻水や咳はない場合に、市販のかぜ薬(すべての製品が合剤)を飲むのは、目的に合わない成分の入った合剤を服用してしまうことになります。その分、副作用の生じる可能性が高まり、余計なデメリットを負うことになります。

 ⑥の補足です。例えば、花粉症でエフェドリンという成分の入った鼻炎用内服薬を飲んでいるときに、たまたまかぜをひいてしまい、かぜ薬を追加で飲んでしまい、動悸の副作用が出てしまったというケースです。かぜ薬にもエフェドリンが入っていて、エフェドリンが重複し、副作用が出てしまったわけです。特に心臓病のある高齢者の方にとっては危険ですが、合剤の場合は、そのような問題がどうしても発生しやすくなります。